タナ(棚)障害でひざが痛むケース

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タナ障害とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「タナ障害(たなしょうがい)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.タナ障害が疑われる症状

症状が出る箇所
(右足例)
ひざの内側に痛みや腫れが生じる

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、タナ障害が発症している可能性があります。


  • スポーツ時などに、膝の皿の内側に痛みやひっかかり感がある
    →膝を曲げると痛みが強くなる
  • 膝の屈伸(くっしん)運動をした時や、椅子から立ち上がる時などに膝に何か挟まるような感じがする
    →その際に「コキッ」「コツッ」といった音がすることもある
  • 膝の皿のあたりに違和感や重苦しさを感じる

こうした症状がみられる状態を長期間放っておくと、膝を動かした時だけでなく安静時にも痛みを感じたり、痛みが長く続くようになります。

2.タナ障害とは 〜 特徴や原因

「タナ(棚)」とは
膝の関節の内部には関節腔(かんせつこう)という空間があり、その空間は滑膜ヒダという膜のような壁で仕切られています。膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨(太ももの骨)の間のヒダは、物をのせる棚のように見えるため、タナと呼ばれています。
滑膜ヒダは母親の体内にいる胎児期に一時的に作られるもので、胎児の約半数は産まれた後もそのまま残ります。特に何の機能も持たない組織であるため切除しても問題ありません。

図解:タナ障害が発症する原因

膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、タナが膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨の間に挟まり、大腿骨の下端の膨らんだ部分とこすれて炎症を起こし、腫れや痛みが出るものがタナ障害(棚障害)です。タナ症候群とも呼ばれます。

膝の屈伸と打撲を伴うスポーツ種目によく見られます。また、体質的にタナに厚みがあったり大きかったりする人は、膝を酷使した状態(オーバーユース)で膝を強打したりすると症状が現れやすくなります。特に太ももの筋肉が疲労していると、筋肉が緊張しているためタナの摩擦が強くなり症状が出やすくなります。

患者は10〜20歳代の若い人に多く、男性よりも女性の割合が高いです。

<発症しやすいスポーツ>

  • 野球、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、陸上競技など

3.診断・治療・予防

◆診断

膝の内側の痛みや、膝を動かした時の音からタナ障害が疑われる場合、MRI検査の画像診断でタナの存在を確認して最終診断を下します。
タナ障害を見つける簡易な方法として、膝の皿の内側に親指を当てた状態で膝の曲げ伸ばしをします。この時コキコキ、ポキポキといった音がすればタナ障害の可能性が大きいです。

◆治療

軽症の場合は、運動量を抑えたり、運動後に患部を冷やすアイシングや炎症を抑えるシップなどの消炎鎮痛剤、太ももの筋肉のストレッチングをしたりして対処します。大抵の場合は激しい運動を控えて安静を保っていれば、徐々に炎症が治まって2ヶ月前後で治ります。
繰り返し痛みが生じたり、数か月にわたって痛みが引かないなど重症の場合は、痛み止めの注射をしたり、関節鏡(関節内に挿入する内視鏡)による手術「関節鏡視下郭清術」でタナを切除することもあります。

◆予防

膝関節を伸ばすストレッチング

予防として有効なのは、膝周りの筋力を鍛えるトレーニングや、柔軟性を高めるストレッチングを行うことです。タナの摩擦が弱まり炎症が起きにくくなります。また、患部の冷えは炎症を引き起こしやすく悪化させる要因ともなるため、常日頃から膝を冷やさないように注意しましょう。カイロ、入浴、ひざ用のサポーターなどの装着などで対応しましょう(温熱療法)。

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